千葉市の花でもあるオオガハス。関わりの深い方々が集合して、“蓮愛”を存分に語って頂きました!
南定雄さん(以下南さん) 私がオオガハスと出会ったのは東京大学に勤めてから。東京オリンピックで東京大学検見川運動場が競技場として利用され、東京大学と地元の有志で記念碑を作ることになり、植えたのが最初の出会いです。開花した蓮の神秘的な美しさに魅了されました。記念碑の除幕式の前に大賀一郎❶先生が蓮の開花をご覧になっている姿が目にやきついています。
金子建一郎さん(以下金子さん) 「大賀ハスのふるさとの会」は、東京大学からハス見本園の管理を引き継ぎ、観蓮会の開催や蓮文化の継承と普及を行っているボランティア団体です。観蓮会は、東大緑地植物実験所の移転により、一時は継続があやぶまれましたが、
地元有志の方や東京大学の協力で、昭和42年から続く伝統行事として毎年開催しています。また、「オオガハス復活作戦」を地元の小中学校のPTAと共に開催し、地域の交流を推進しています。
斉藤久芳さん(以下斉藤さん) 千葉市の職員として千葉公園事務所に勤務した時にオオガハスと出会いました。美しく、堂々と咲く花に魅了され、千葉公園❷のオオガハスを日本一にしよう!と決意。有識者の方から栽培指導を受け、最盛期の1日の開花数が200~300本だったオオガハスを600~700本にまで増やしました。「千葉市の花」ということを啓蒙するために、リーフレットを作成したり、見頃の時期にはガイドも行うなどの活動に励みました。
仙波慶子さん(以下仙波さん) 「花びと会ちば」では、花と緑があふれるまちづくりの取組みのひとつとして「大賀ハスまつり」を開催しています。オオガハスにまつわる講演や、楽器演奏、大きなハスの葉に飲み物を入れ、茎をストローにして飲む象鼻杯の体験、農産物・花苗の販売など、様々な催しを行っています。特に象鼻杯が人気で、たくさんの方に楽しんでいただきました。当初は「大賀ハスを観る会」としてスタートしましたが、おかげさまで、今年は約1万3000人もの来場がありましたので、開催期間を1日間から9日間に増やし、造園組合、園芸協会、文化振興財団、地元商店会などの協力を得ながら開催しています。
食べる、香る、音まで楽しむ!?色んな角度で楽しめる花です
南さん オオガハスの開花はたった4日間だけ。その間、毎日変化していく不思議な魅力がありますね。また「蓮根」は食材として煮物や揚げ物など昔から利用されていますし、「蓮の葉のお茶や実」も美味しいです。化粧品メーカーに協力して蓮の「ハンドクリーム」や「香水」の開発にも携わりました。日本にはもともと蓮を食す文化があるので、魅力は伝わりやすいと思います。
斉藤さん 情緒的な魅力をご紹介します。ガイドをしている時にお客様から「蓮は花が咲く時に音が鳴るの?」と質問されました。実際、音は鳴りませんが、大賀博士が公開実験の結果「“風流音”なら聞こえる」と説明されていて、私がお客様に案内する時も「早朝の池でお腹を空かせた鯉や鮒が虫をパクッと食べる音とか、
蓮の葉に佇む蛙がポチャリと池に飛び込む音とか、そういう風流な音が、花咲く音のように聞こえるようです」とお答えして、喜んでいただきました。
金子さん 中国からも魅力を評価されてますね。大賀先生の蓮の研究の原点は中国の大連ですが「2000年前の蓮が発見された場所に行きたい!」という中国の方も多く、私たちが開催する大賀蓮見学会にもお出でになります。見学会はボランティアの方々とともに開催していますが、参加した中国の方から感謝の手紙を頂いたりすると、私もボランティアの方々もオオガハスの魅力が世界的に伝わっていることに喜びを感じます。
仙波さん 千葉公園のオオガハスは、しっかりと管理されていて美しいのはもちろんですが、特に魅力なのが「身近に感じることができる」ということ。千葉公園は、すぐ近くまで寄れるので、触れたり、花の匂いを嗅いだりできます。他の公園などでは、間近で眺めることができませんから。
自宅でもお祭りでも、身近で
オオガハスに触れ親しんで。
南さん 私たちの会では家庭栽培できる小さい蓮など、海外の品種を取り入れ、オオガハスと世界の蓮の両方を楽しんで貰いたいです。国内では全国から「オオガハスを植えたい」という引き合いがあり、こちらにも引き続き対応していきたいです。❹
斉藤さん 春の植え付け、夏の花鑑賞、秋の収穫など、四季を通じて楽しめるので、季節ごとに市民が参加できるようなイベントを開催できるといいですね。市民農園のような施設があれば、もっと沢山の方に魅力が伝わるのではないでしょうか。
金子さん 私たちの会には、地元のボーイスカウトや中学生のボランティアなどが手伝いに来てくれています。今後は、子どもから大人まで、色々な方が気軽にオオガハスに触れられるような環境を推進して、地域交流の活性化につなげたいです。
仙波さん
特に子どもたちに興味を持ってもらいたいです。「大賀ハスまつり」では、開催期間中に、保育園児のちはなちゃんのぬり絵を掲示しましたら、ご家族そろって千葉公園まで足を運んでくれました。蓮華亭内外でのイベントもあり、何度も訪れてくださる方もありました。千葉の一大イベントとして、今以上に盛り上げたいです。
(平成28年11月対談。役職は対談当時のもの)
用語解説
- ❶ 大賀一郎
-
岡山県出身の植物学者。検見川厚生農場で古代蓮の発掘調査を行い、発芽に成功した。
- ❷ 千葉公園
-
昭和26年に大賀博士の指導も受け、ここに植えられた。毎年6月には大賀ハスまつりが開催。
- ❸ 花園中学校
- 発掘調査当時に、生徒がボランティアで参加。昭和42年には「大賀博士育英会」を設立し同校の生徒が表彰されており、現在もオオガハスの歴史が脈々と受け継がれている。
- ❹ 世界へ根分け
- たった1粒の実から開花したオオガハスは現在、国内及び海外150か所以上へ分根されている。平成5年には千葉市が政令指定都市になったのを記念し「市の花」に制定された。
マメ知識
「蓮の花の中はあたたかい!?」 実は蓮が開花する際、花托という花の部分が発熱して、つぼみの中の温度が30度~36度の範囲内で2~4日間程度維持されます。みずから発熱する珍しい植物なんです。蓮を鑑賞する際に、優しく指を差し入れてみれば、その暖かさを感じられますよ!
※掲載している情報は2018年1月31日時点の内容です。
※千葉市都市アイデンティティ発信観光ガイド 『千葉市がもっと「好き♥」になる本』発行:千葉市 企画・千葉市観光プロモーモーション課 編集・制作:株式会社オニオン新聞社)より転載。
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